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特選
『天高し窓からのぞく塔ふたつ』
先端がのぞくだけの塔の発見。その情景をすっきりと表現している。
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準特選
『秋高し半音上がる汽笛かな』
秋の雰囲気が良く出ている。青い空と海、船の白が生きている。
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入選
『律の風小半酒の酔ひごこち』
三味の音流れる空気感がある。つい暖簾をくぐりたくなるような句と写真。
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入選
『廻廊へ月の光と衣擦れと』
どの語も動かない。発見がいい。
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入選
『秋澄むや鏡ケ池に浮くもよし』
やや常識的だが雰囲気がとてもいい。やさしい感じで落ち着く。
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入選
『嵐峡に櫂の一撃秋鵜飼』
句、写真ともに、鵜飼の雰囲気が良く出ている。
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奨励賞
『秋天に放つ恋の矢告白す』
「恋の矢」の発想がよく、「告白す」が効果的。
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奨励賞
『うつろひの紅葉を映す玻璃戸かな』
ガラス越しの紅葉をうつろいの中で捉えた着眼がいい。
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奨励賞
『刎頸の友の訃報や霧の朝』
句単独では常識的だが、泪が潤んだような心情が感じられる。
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奨励賞
『雲水や落ちぎんなんを踏みて行く』
雲水と落ちぎんなんの取り合わせがいい。漱石ゆかりの場所でもあり、その昔を連想させる。
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奨励賞
『動きたる人影もまた案山子哉』
「また」の発想がよく、案山子が造形美術に進化しているようだ。
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交流促進賞
『秋祭脚絆きりりとラッパ隊』
情景の切り取りがいい。ラッパが聞こえるような楽しい写真で、いい構図に配役されている。
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『漱石が歩いた野出は今ミカン』
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『余震なほ稲架組み棒の深きこと』
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『秋天や棚田日色に輝けり』
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『うら枯れや灯りのうかぶ夕間暮れ』
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『灯籠も銀杏黄葉をご覧ずる』
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『ジグザクの黄金の棚田案山子笑む』
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『菊日和靴音響き香り立つ』
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『清盛が船を背にする秋の朝』
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『塔を背にここを先途と大銀杏』
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『舟が今鳥居を抜ける秋の海』
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『紅が射す耶馬の渓谷秋深し』
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『紅葉の誘い気づけば谷深し』
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『僧の鑿秋の日射して天に映ゆ』
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『秋風や先人も往く往還路』
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『洞を射る光線まぶし黄葉かな』
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『月白や古看板に落つる影』
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『凛秋やガス灯の明かりのぬるさ』
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『菊坂を下りてよりの秋の雨』
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『敬太朗聞きし帝釈天の秋の鐘』
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『逆光へ煽り立つかな破芭蕉』
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『冬ざれやフェリーぞ隠る島の影』
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『返すのは溜息ひとつ秋の声』
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『青空や滝と流るる紅葉かな』
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『山里や案山子と同化立ち話』
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『連山の紅葉遙か耶馬の渓』
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『天高し文化の敷居は子の高さ』
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『秋惜しみ上京せんと空を飛ぶ』
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『新しき浅草目指す秋灯』
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『晩秋や嘶ききこゆ日田峠』
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『村おこし人より多き案山子かな』
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『耶馬溪路見上ぐる空の高さかな』
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『照り映ゆる銀杏紅葉や空の青』
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『せせらぎや木漏れ日まとふ破芭蕉』
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『往にし世の人もこの月渡月橋』
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『祗園にはそろそろ灯り夕紅葉』
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『黄葉や取り巻くカメラの音響く』
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『古の石坂深し秋の陰』
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『山里も案山子が競う大統領』
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『秋祭火渡る男の子神がかる』
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『里祭火押し神事の潔し』
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『坂登り色づく柿に息をつく』
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『かかし村カゴメカゴメの紅葉狩』
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『眼に刻むその日その時照り紅葉』
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『紅葉狩石工の音の響きをり』
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『腸に嬉しあんこや月明り』
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『気にかかる今夜のおかず焼秋刀魚』