- 【タイトル】
- 夢現 "in a half dream"
- 【作者】
- 西川洋一郎様(神奈川県川崎市)
- 【私の草枕】
- 夢枕によせて半覚醒のまどろみのなか、旅人の意識は俗界を飛び立ち、非人情的、出世間的な清らかな世界へと浮遊する。画工が求めた幽玄の美の世界へと誘うエレメントを1枚の絵として描く。
<リトグラフ 他混合 箔、雲母など> - 【評価】
- 心奥に浮遊するものを表現すれば、このようなものとなるのか。技術的にも確かなものがあり、優秀な作品である。
- 【タイトル】
- ぽたり赤いやつが水の上に落ちた
- 【作者】
- 石井奈央香様(大阪府堺市)
- 【私の草枕】
- 主人公が鏡が池へとやってくる。そこに咲いている椿に魅入られ、その花が持つ赤い色から妖女を連想する。そして椿の花に毒気を感じながら見ていると、ぽたりと赤い花が水の上に落ちる。
- 【評価】
- 空間の美しい作品。筆の運びも自在で、和らいだ美しい線で書かれている。最優秀賞にも匹敵する。
- 【タイトル】
- 草枕天女
- 【作者】
- 山下隆夫様(京都府福知山市)
- 【私の草枕】
- 我輩は草枕温泉で漱石先生が「天女」を見たのではないかと信じてやまない・・・如何なものニャーン?
<自筆墨絵〜デジタル版画処理> - 【評価】
- 美的センスに秀でていて、技術的にも高度である。発想も技術も優れている。
- 【タイトル】
- 出会い、別れ道
- 【作者】
- 上村順渕様(熊本市)
- 【私の草枕】
- 人生には出会いと別れがあります。作者(漱石)はそんなことを考えて小説を書いたのではないか? 画家と那美さんの出会いをイメージし、道に託してみました。
- 【評価】
- 岐れ道、辻の草屋を中心に、人や馬、にわとり。懐かしく、何とも微笑ましい。絵はうまくなくても、佳い絵は心を打つ。
- 【タイトル】
- 憐
- 【作者】
- 笠久美子様(玉名市)
- 【私の草枕】
- 那美さんを画に描こうとした時に、那美さんに”憐れ”があれば・・・と、作者が最後に気がつく、憐れこそ、草枕のテーマでしょうか。
- 【評価】
- 「憐」の一字を、力強い運筆で一気に書きあげてあるが、破筆の中に細かな感情もよみとれる。上位に匹敵する
【作品】 | 【タイトルと作者】 | 【評】 |
---|---|---|
《タイトル》 山路を登りながら 《作 者》 鹿井正剛様 (玉名市) | 作品中の山路の雰囲気がよく出ている | |
《タイトル》 漱石の不安 《作 者》 田中龍一郎様 (熊本市) | 発想、構成がよい | |
《タイトル》 非人情朧旅 《作 者》 西海道昭様 (兵庫県明石市) | 「草枕」をよく読みこんでいる。特に能のイメージは秀れている | |
《タイトル》 追想 《作 者》 中野忠士様 (玉名市) | 正直な描写が現場の雰囲気をうまく伝えている | |
《タイトル》 海棠の霜をふるふやものくるひ、 女の影をかさねつつ 《作 者》 出井伸明様 (京都府亀岡市) | 芸術的に高度で、イメージも面白い | |
《タイトル》 草枕 山路を辿って 夢まくら 《作 者》 水間摩游美様 (熊本市) | 上に空間を広くとって、うまい構成の作品である。 | |
《タイトル》 小天小唄 《作 者》 寺本令子様 (熊本市) | わかりやすい表現で親しみをおぼえる。絵も入れて全体をうまく構成している |
応募総数:43点
- 【審査員】
- 《全般》中村青史氏(漱石館整備計画研究委員長、元熊大教授、文学博士)
《絵》宮崎静夫氏(熊本市・画家)
《書》徳永孝文氏(書家、玉名市天水町、毎日書道展審査員)